面積が広く、熱がこもりやすい工場・倉庫。きちんと対策をしないと、従業員の熱中症のリスクや、機器の故障リスクが高まってしまいます。ここでは、工場・倉庫における暑さ対策について、ポイントと事例をご紹介します。
工場の屋根・天井はトタン、ガルバリウム鋼板、アルミなどの金属や、セメントと繊維材料で作られた波型スレートなどでできています。これらは熱伝導率が高く、直射日光で表面が非常に熱くなってしまいます。屋根の表面温度はすぐ裏に伝わり、室内に向かって強い輻射熱を放出。これにより室内の温度が上昇してしまいます。
暑さ対策をするなら、効率的に屋根を冷やすことが大切。「屋根用スプリンクラーで屋根を冷却する」「遮熱材や断熱材を屋根に施工する」「放射冷却素材を施工する」などの方法がおすすめです。
工場や倉庫では金属やコンクリート製の屋根から放出される輻射熱により室内温度が大きく上昇します。遮熱対策は、従業員の熱中症防止や機器の安定稼働、省エネの観点からも欠かせません。
遮熱塗料や断熱材に加え、注目されているのが放射冷却素材。外気よりも素材表面を低温に保てるこの技術は、倉庫やコンテナ/制御盤など多様な用途に対応可能なので、用途に応じた対策を選び快適かつ生産性の高い職場環境を実現しましょう。
折板屋根とは、金属を折り曲げて波状にした屋根材のことです。自転車置き場や倉庫、工場、プレハブ、体育館の屋根として多く用いられています。
折板屋根の暑さ対策としては、日射の一部を反射し、室内の温度上昇を防いでくれる遮熱塗料などがありますが、おすすめは放射冷却素材です。放射冷却素材とは、物質が外に熱を出して冷える「放射冷却現象」を再現した素材のこと。太陽光から入る熱より放射する熱を大きくすることで、高い遮熱効果を実現しています。金属製折板屋根の表面温度を低減できる放射冷却素材もあります。
水平な屋根である陸屋根は、2階部分が直射日光を受けやすく、室内温度が上昇しやすい構造です。断熱材の追加はもちろん、遮熱塗料や放射冷却素材、断熱材施工などを組み合わせることで効果的に暑さを軽減できます。実際に放射冷却機能付き防水シート「イノベーションプルーフRR」を施工した事例では、シート裏面で約-20℃の温度低下が確認されています。
物流倉庫では荷物の出入りが頻繁。搬入・搬出口から外気が侵入しやすい上、フォークリフトや台車、コンベア、搬送用ロボットなどの機械からも熱が発生しています。また、物流倉庫の大きな屋根では一般的に金属製の折板屋根が採用されており、屋根の熱が室内に伝わって空間の温度を上昇させています。
物流倉庫では、空調服を使用したり、ネッククーラーなどを身につけたりする個人の対策のほか、空間でも暑さ対策を行うことが大切です。一般的な対策は、「適切に空調を使用する」「開口部を塞ぐ」「屋根を冷やす」などです。こちらのページでは、物流倉庫の暑さ対策のポイントをご紹介します。
危険物倉庫とは、災害につながる危険性がある物質を保管する倉庫のことです。危険物倉庫の屋根もまた、金属を折り曲げて波状にした折板屋根を使用。金属が剥き出しの状態のため日射・外気の影響を受けやすく、室内の温度が上昇してしまいます。また、危険物倉庫には開口部がほとんどないため、風通しが悪く熱がこもってしまいます。
危険物倉庫の暑さ対策でおすすめなのが、室温を上げる原因である屋根を冷やすこと。遮熱シートや遮熱塗料を屋根に施工する、放射冷却素材を施工することで、冷却効果を実感することができます。
一口にコンテナといっても、倉庫、仮設事務所、仮設住宅、物置などとして使用されているものや、貨物列車や船、トレーラーなどに積まれている輸送用コンテナなど種類はさまざまです。
共通しているのが、アルミニウムやスチールなどの金属で作られていること。基本的には日射を遮る屋根がなく、天井や壁に断熱材もほとんど入っていません。これを冷却できるのが、放射冷却素材です。フィルムタイプなら短時間で貼り付けられる上、フィルム自体にデザインを施すことが可能。フィルムタイプを貼り付けることで、天井や内部の温度上昇を抑えることに成功した事例もあります。
プレハブ事務所は多くの場合、熱の影響を受けやすい軽量鉄骨で作られています。日射を遮る屋根や軒がなく、断熱材も入っていないため、日射や外気温の影響を直接受けてしまいます。
簡単にできる対策として有効なのが、簾を屋根や壁にかけること。直射日光を遮ることで屋根や壁の表面温度を下げることができます。さらに効果的なのが、遮熱材や放射冷却素材の施工です。ここでは、プレハブ事務所が暑くなる原因と、おすすめの対策をご紹介します。対策を行って屋根の表面温度が20℃近く低下した事例もまとめているので、ぜひ参考にしてください。
多くの人が行き交い、大量の設備がある食品工場。「煮る」「焼く」「炒める」などの加熱を行う場合は、熱と水蒸気が発生します。衛生的な観点からそもそも窓がない、出入り口が少ない工場も多く、暑くなりやすい構造になっています。
食品工場の暑さ対策として考えられるのは、「シーリングファンやスポットクーラーを導入する」「屋根用スプリンクラーを設置する」「遮熱材や断熱材を屋根に施工する」「放射冷却素材を施工する」などです。屋根や壁からの熱伝導を抑え、冷却機器で気流をコントロールすることで、快適な温度環境を実現することができるでしょう。
工場や倉庫の夏場の電気代を大きく左右するのが、空調設備です。特に屋外に設置された室外機は、直射日光や地面からの輻射熱で高温になりやすく、熱交換の効率が低下。これが消費電力の増大に直結してしまいます。
ここでは、室外機が熱くなる原因から、遮熱シートや日除けといった具体的な対策方法を解説。実際に空調室外機の遮熱対策によって、消費電力を最大18%削減した事例もご紹介しているので、手軽に始められるデマンド対策として、ぜひ参考にしてください。
制御盤、機械や建物の設備などを制御するための機器が収納されている制御盤。制御盤を構成する半導体や電子部品は、温度が10℃上昇すると寿命が半分になると言われています(10℃2倍則の法則)。
直射日光が当たらない、温度が上がりにくい場所に設置することになっていますが、最近は35℃を超える日も少なくないため、熱対策を徹底することが大切です。ここでは、制御盤が熱くなる原因と、おすすめの熱対策をご紹介します。制御盤に放射冷却素材を施工し、盤内温度を最大14℃低下させた事例もご紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
暑さ対策にはさまざまな方法がありますが、工場・倉庫でまず行いたいのが遮熱対策です。遮熱とは、外の熱が室内に入るのを防ぐことです。
夏場の強い太陽光によって屋根や外壁は非常に暑くなりますが、遮熱対策をすることで、その熱が室内に伝わらないようにすることができます。工場・倉庫では、特に熱を持ちやすい「屋根」「窓」「機械」に遮熱対策をするのがおすすめ。以下で詳しく見ていきましょう。