制御盤を構成する半導体や電子部品は、温度が10℃上昇すると寿命が半分になると言われています(10℃2倍則の法則)。このため熱の影響を受けないよう、しっかり対策することが大切です。ここでは、制御盤の熱対策としておすすめの、放射冷却素材をご紹介します。
制御盤が熱くなる原因はさまざまです。まず、制御盤自体が熱を持ってしまう場合。制御機器の性能が向上する一方で、機器はどんどん小型化しています。これにより放熱が追いつけず、制御機器自ら発熱してしまう場合があるのです。限られたスペースにいくつも制御盤を設置することも、発熱リスクを高めます。風通しが悪くなって制御盤が放熱できず、制御盤内での発熱量が増えてしまいます。
もう一つの原因が、外気温や日射です。制御盤は本来、直射日光が当たらない、温度が上がりにくい場所に設置することになっています。しかし、陰になっていた建物が取り壊されたり、工場内のレイアウトが変更されたりすることで直射日光や熱源に晒される場合があります。
制御盤内の温度が高くなると高温アラートが発生して装置が停止する、故障してしまう、盤内の電子機器の寿命が縮まってしまう、などの不具合が発生します。このため、設置場所に配慮するとともに、熱対策をしっかり行わなくてはなりません。主な対策は、以下の5つです。
冷却ファンを設置することで、制御盤内部の熱を外へ放出することが可能です。パソコンに使用されているので、ご存じの方も多いでしょう。ただし、冷却ファンは外気を吸い込むため、外気温が高い場合は冷却効果が期待できません。また、外気に塵やオイルミストなどが混ざっている場合は故障に繋がってしまいます。
熱交換器も、制御盤内部の熱を外へ放出することが可能です。放熱効果だけでなく防塵効果もある点が特徴。ただし、外気温との温度差を利用して冷却するため、外気温が高い場合は冷却効果が期待できません。
制御盤の筐体内を冷却するための専用クーラーです。常にクーラーを稼働させるためランニングコストがかかりますが、冷媒を冷却するため、外気温に関わらずしっかりと温度を下げることが可能です。
遮熱材とは、日射の一部を反射し、室内の温度上昇を防ぐ素材のことです。屋外に設置する制御盤に取り付けることで、高い効果を期待することが可能です。
放射冷却素材は、物質が外に熱を出して冷える「放射冷却現象」を再現した素材です。太陽光から入る熱より放射する熱を大きくすることで、高い遮熱効果を実現しています。放射冷却素材には、シートや塗料、テントなどさまざまな種類がありますが、シートタイプなら制御盤にも容易に施工することが可能です。
北海道ガスでは、約350カ所の屋外用遠隔監視制御盤に放射冷却素材SPACECOOLを導入。施工済みの制御盤と未施工・断熱塗料施工制御盤を比較したところ、盤内温度に最大 14℃の差が生まれることを確認しました。導入により、猛暑下でもガスを安全・安定して供給できるよう体制を整えています。
暑さ対策にはさまざまな方法がありますが、工場・倉庫でまず行いたいのが遮熱対策です。遮熱とは、外の熱が室内に入るのを防ぐことです。
夏場の強い太陽光によって屋根や外壁は非常に暑くなりますが、遮熱対策をすることで、その熱が室内に伝わらないようにすることができます。工場・倉庫では、特に熱を持ちやすい「屋根」「窓」「機械」に遮熱対策をするのがおすすめ。以下で詳しく見ていきましょう。