地球温暖化対策や省エネ効果が期待されている放射冷却素材。ここでは、注目の放射冷却素材について基礎知識をご紹介します。
放射冷却とは、物質が外に熱を出して(放射)冷える(冷却)現象のことを言います。天気予報で、「放射冷却により今晩は冷えるでしょう」とアナウンスされたのを聞いたことはありませんか?これは、日中太陽によって温められた地表が、夜に放射冷却で冷える現象のことです。
この現象を活用した素材が、放射冷却素材です。一般的な素材では、出ていく熱よりも太陽光から入る熱の方が大きいので、素材は気温より温まってしまいます。しかし放射冷却素材は出ていく熱の方が大きいので、日中でも効率よく冷却することが可能。電気を使わず空間を冷却できるとして、世界的に注目を集めています。

| 製品名 | SPACECOOLフィルム_白/SPACECOOLフィルム_銀 |
|---|---|
| 反射率 | ~95% |
| 放射率 | ~95% |
| 冷却能力 | 120~150W/㎡ |
| サイズ(巾×長さ) | 1250mm×25m |
| 不燃・防炎 | 不燃 |
SPACECOOLは、SPACECOOL株式会社が開発・販売している放射冷却素材です。
放射冷却現象を素材で再現。太陽光と大気からの熱を95%以上※ブロックし、熱を宇宙に逃がすことで、常に外気温より2〜4℃低くすることができます。
大きな特徴は、耐候性とコストパフォーマンスに優れている点です。紫外線に対して10年相当以上の耐候性が確認されているので、屋外で長期間効果を維持しながら使用することが可能です。
フィルム、マグネットシート、膜材料、ターポリン・キャンバスなど、さまざまなタイプが提供されています。
引用元:SPACECOOL公式サイト (https://spacecool.jp/news/20241016/)
引用元:SPACECOOL公式サイト (https://spacecool.jp/news/20251215/)
2024年にはグッドデザイン賞の金賞(※1)、2025年には省エネ大賞(※2)を受賞。グッドデザイン賞の受賞時には「0.1mm未満のシート・フィルムながら、宇宙に熱を捨てるという発想でゼロエネルギーで冷却可能な革新的な素材」と評価されています。

スカイクールは、2016年設立、アメリカ・カリフォルニア州に拠点を置くスカイクール・システムズ社が提供しています。
ラインナップは、放射冷却パネルとデュアルモードフィルムです。放射冷却パネルは、太陽光を反射して日中のパネルの過熱を防ぐとともに、赤外線熱を空に放射。パネルの背面に埋め込まれたパイプ網内に水を循環させることで、冷却状態に保つことが可能です。
デュアルモードフィルムは、ナノテクノロジーで作られた光学フィルムで構成されています。屋外のバッテリーや電子ボックス、金属屋根、冷蔵トラックなどの車両に使用するのがおすすめです。

| 製品名 | iFilm(EFG-D50) |
|---|---|
| 放射率 | 94% |
| 可視光透過率 | 51.0% |
| 赤外線遮断率 | 87.0% |
| 紫外線遮断率 | 92.0% |
i2 Cool(創冷科技)は、2021年6月に香港で設立されたベンチャー企業です。同社はパッシブ放射冷却技術に特化しており、電気不要の放射冷却塗料「iPaint」や放射冷却フィルム「iFilm」、デュアルモード熱管理機能を備えた「iTextile」などの製品を提供。
例えばi2 Coolが提供する「iFilm」は優れた断熱性能をもち、高効率・省エネを実現するフィルム。ガラスの内側や外側に取り付けることができ、空調の利用を減らしながらも快適な空間が実現できます。
放射冷却素材は、自然界の放射冷却現象を応用し、太陽光を高効率で反射すると同時に、赤外線として熱を宇宙へ放出することで温度上昇を抑える技術です。大気の窓と呼ばれる波長域を活用することで、昼間でも熱を外部へ逃がし、外気温より低い状態を実現できます。
従来の遮熱塗料は熱を反射するのみ、断熱材は熱の移動を遅らせるのみであり、いずれも熱そのものを外へ逃がす機能は限定的でした。一方、放射冷却素材は「熱を捨てる」ことで冷却効果を発揮し、根本的に異なるアプローチを取ります。さらに、電力不要でランニングコストを抑えられるほか、空調効率の向上や熱中症対策、CO2排出量削減にも貢献するため、工場の暑熱対策として有効な選択肢です。
放射冷却素材は、太陽光を高反射しながら熱を宇宙へ放出することで、電力を使わずに温度上昇を抑える次世代の冷却技術として注目されています。一般的には㎡あたり数千円〜数万円程度が目安とされていますが、施工条件や付帯作業によって大きく変動するため、スカイクール、i2Cool、SPACE COOLといった代表製品も価格が公開されていません。導入の際は、個別見積もりが必要です。費用の内訳は主に材料費・施工費・諸経費。それぞれ建物条件などによって大きく変動します。
初期費用はやや高めな傾向がありますが、空調負荷の軽減による電気代削減や設備の長寿命化につながるため、導入後のランニングコスト削減を含めたトータルコストで評価することが重要です。
暑さ対策にはさまざまな方法がありますが、工場・倉庫でまず行いたいのが遮熱対策です。遮熱とは、外の熱が室内に入るのを防ぐことです。
夏場の強い太陽光によって屋根や外壁は非常に暑くなりますが、遮熱対策をすることで、その熱が室内に伝わらないようにすることができます。工場・倉庫では、特に熱を持ちやすい「屋根」「窓」「機械」に遮熱対策をするのがおすすめ。以下で詳しく見ていきましょう。