建物の電力消費量を最大8.7%削減。放射冷却技術でカーボンニュートラル社会の実現に貢献
東京都交通局が品川自動車営業所の空調エネルギー低減を目的とし、SPACECOOLと防水シートが一体化した建材、「イノベーションプルーフRR」を営業所の屋上(約600㎡)に導入しました。その結果、夏季の営業所の使用電力が最大8.7%、平均で7.8%削減(※1)という大きな効果が実測されました。
さらに、SPACECOOL株式会社は立命館大学と共同で、建物屋根・屋上にSPACECOOLを施工した際の省エネ効果性についても研究を進めています。共同研究のもと確認された測定結果では、10,000㎡・7階建ての一般的な事務所において最大7%の冷房負荷削減効果が見込まれる(※2)と発表されています。
引用元:SPACECOOL公式サイト(https://spacecool.jp/news/20250521/)
引用元:SPACECOOL公式サイト(https://spacecool.jp/news/20250521/)
イノベーションプルーフRRは、日本のメーカーでシート防水のパイオニアとも評されるロンシール工業株式会社と、SPACECOOL株式会社が共同開発した製品です。ロンシール工業の高い防水性能を持つシートに、SPACECOOLの放射冷却性能を付与しています。コンクリート屋根や金属屋根に施工することで、建物の空調エネルギー削減が叶えられるでしょう。
さらにイノベーションプルーフRRは、一般社団法人日本建築材料協会(JBMA)が主催する「優良製品・技術表彰2025」で優秀賞を受賞しています(※)。この表彰制度は日本で唯一、経済産業省および国土交通省が認めた、建築材料・住宅設備に関する賞となっています。イノベーションプルーフRRの評価の高さがうかがえるのではないでしょうか。
引用元:SPACECOOL公式サイト(https://spacecool.jp/product/innovationproof-rr/)
引用元:SPACECOOL公式サイト(https://spacecool.jp/product/innovationproof-rr/)
2024年5月1日から9月30日の期間中、従来の防水シート・遮熱防水シートと比較し、イノベーションプルーフRRが空調負荷に与える影響を測定。屋根からの熱流入を抑えることにより、建物内の電力消費量にどのような変化があるかを検証しました。
前年同月比で最大8.7%、平均7.8%の電力使用量の削減効果が確認されました。この結果は、気温の影響が少ない条件下でも、イノベーションプルーフRRの省エネ性能が明確であることを示しています。
| イノベーションプルーフRRの 営業所電力使用量 削減率の表 | 2024年7月 | 2024年8月 | 2024年9月 | 平均 |
|---|---|---|---|---|
| 前年比 | 6.7%削減 | 8.7%削減 | 8.4%削減 | 7.8%削減 |
| 2024年 東京の平均気温 | 28.7℃ | 29.0℃ | 26.6℃ | ー |
引用元:SPACECOOL公式サイト(https://spacecool.jp/news/20250521/)
本試験結果は、SPACECOOL製品のカーボンニュートラル性を裏付けるものであり、建物分野を中心に普及拡大を進めていく計画です。今後も省エネ技術の社会実装を通じ、持続可能な都市環境の実現を目指します。
一般的な事務所ビルで最大7%の冷房負荷削減効果。放射冷却技術の省ネ性を科学的に可視化。
SPACECOOL株式会社は、建物の省エネルギー性を科学的に可視化するため、立命館大学理工学部建築都市デザイン学科の近本智行教授および同学科の李明香准教授と共同研究を進めてきました。
その研究結果が、2025年9月10日に九州大学で開催された「2025年度 日本建築学会大会(九州)」にて、『放射冷却シートによる屋根面敷設時の熱負荷削減量の検討および CFD 解析による膜状テントの熱環境解析』として発表されました。
研究結果の概要は以下の通りです。
脱炭素社会の実現に向け、建築物の省エネルギー化が求められています。この研究では、日射反射率95%、放射率95%の特性を有する放射冷却シートに着目。一般的とされる事務所建築の屋根に施工した際の冷房負荷削減効果を検証しました。
計算には、省エネルギー基準の10,000㎡の事務所モデル(7階建て)を使用。放射冷却シートを敷設した場合としない場合の熱負荷原単位を定常計算により算出しました。この内容は、DECCデータ(非住居建築物の環境関連データベース)から計算した冷房負荷と比較し、妥当性を確認しています。
計算の結果、放射冷却シートを敷設することにより、各地域(青森市~鹿児島市)で4.8%~7.5%の冷房負荷が削減されることが示されました。
また、冷房負荷の削減量は、外気温が高く日射量が多い地域ほど大きくなる傾向にあることも分かりました。これは、SPACECOOLが日射による受熱を低減する効果が高いことを示しています。
SPACECOOLの用途は膜状建築にも広がっており、大阪・関西万博のパビリオンにも採用されています。本研究では、膜状テントに適用した際の熱環境性能を定量的に検証するため、CFD解析を行いました。
過去の研究では、放射冷却シートを用いたテントが、普通テントと比較して表面の温度に加えてテント内の温度(特に天井付近で最大8.9℃)が低温になると実測で確認されています。
今回のCFD解析では、境界条件(熱量境界条件・放射考慮あり)を適切に設定することで、実測値と近い温度分布を再現できることが確認されました。これにより、CFD解析を用いた熱環境の予測精度の高さが示されました。
研究で得られた知見は、放射冷却素材の省エネルギー効果を科学的に裏付けるものです。これらの知見を用いて大阪・関西万博におけるガスパビリオンの解析を行い、放射冷却シートの熱環境およびエネルギー性能についてもさらに検証を進めていく計画です。
放射冷却技術で「木陰の涼しさ」を。テント、日傘、パビリオン採用で万博の暑熱対策と省エネに貢献。
2025年4月13日(日)から、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)が開催されました。SPACECOOLは、この万博へ様々な形で参画し、放射冷却技術を通じて「木陰の涼しさ」の提供やカーボンニュートラル社会の実現に貢献しています。
来場者や運営スタッフに「木陰の涼しさ」を届けるため、SPACECOOLを生地の表面に使用したテント2基に加え、全長約112cmの大型の日傘100本も協賛しています。
SPACECOOLテントは、Osaka Metro中央線 夢洲駅の近くにある東ゲート近辺や、西ゲート施設の西迷子/ベビーセンター周辺に設置されており、また、SPACECOOLを使用した大きなサイズの日傘も会場内各所で運営スタッフが使用しています。
ロンシール工業株式会社が販売する、SPACECOOLを活用した防水シート「イノベーションプルーフRR」を東エントランス案内所の屋根(約400㎡)に施工しています。屋内の空調エネルギーの削減が目的で、カーボンニュートラル社会を実現するための取り組みです。
日本ガス協会が運営する「ガスパビリオン おばけワンダーランド」にもSPACECOOLが採用されています。ガスパビリオンは高さが最大18mの三角形断面の特徴的な空間を持つ建物で約2,800㎡にもおよび、その外膜材にSPACECOOLが使用されています。SPACECOOLの導入により、室内温度の上昇を抑えたり、室内空調の冷房負荷を低減し、省エネ・脱炭素化に貢献しています。
また、ガスパビリオンの外膜材に赤い縞模様が見られる箇所がありますが、こちらは市場導入前の膜材料(B種膜材料(銀色))特有の現象で、SPACECOOLの性能や安全性には問題がないことが確認されています。すでに市場導入されている製品や、今後提供予定の製品群においては、同様の現象は発生しないとのことです。
暑さ対策にはさまざまな方法がありますが、工場・倉庫でまず行いたいのが遮熱対策です。遮熱とは、外の熱が室内に入るのを防ぐことです。
夏場の強い太陽光によって屋根や外壁は非常に暑くなりますが、遮熱対策をすることで、その熱が室内に伝わらないようにすることができます。工場・倉庫では、特に熱を持ちやすい「屋根」「窓」「機械」に遮熱対策をするのがおすすめ。以下で詳しく見ていきましょう。