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今すぐ始めるべき工場・倉庫の暑熱対策

熱がこもりやすく、熱中症のリスクや、電気設備機器の故障リスクが高い工場・倉庫。年々高温多湿化する日本では、暑熱対策が急務です。「まだ大丈夫」「できるだけコストをかけたくない」とお考えの経営者の方もいるかもしれませんが、企業の将来、ビジネスの成長を考えるなら、早めにきちんとした暑熱対策を行いましょう。

日本は遅れている?海外の暑熱対策との比較

暑熱対策をする際に、まず知っておきたいのが暑さ指数(以下WBGT)です。WBGTは熱中症リスクを把握するための世界的な指標で、1954年(昭和29年)にアメリカで開発されました。

気温、湿度、気流、日射・輻射(ふくしゃ)など周辺の熱環境を総合的に評価されており、気温だけ見るよりも体感に近い暑さを把握することが可能。計算式で求めることもできますが、環境省の「熱中症予防サイト」やWBGT計測器などで数値を確認するのがおすすめです。

ちなみに日常生活では、WBGT値25℃未満は「注意」。25~28℃は「警戒」、28~31℃は「厳重警戒」、31℃以上は「危険」(※1)です。職場で対策をする際には、厚生労働省が提示している「身体作業強度等に応じたWBGT基準値」(※2)を参考にすることで、適切な対策を取ることができます。

(※1)参照元:同友会グループ(https://www.do-yukai.com/medical/95.html)
2024年10月25日時点。
(※2)参照元:厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei33/dl/01.pdf)
2024年10月25日時点。

日本は遅れている?暑さ指数(WBGT)と
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暑熱対策と企業のリスク管理

企業には、従業員が安心して健康に働けるよう配慮する義務があります。快適な労働環境があれば、従業員は前向きに働くことができ、職場全体の生産性が向上します。不慮の事故で生産がストップし、機会損失や企業としての信頼失墜を防ぐこともできるでしょう。

また、従業員満足度の向上によって社会的な信頼度や企業評価が高まり、優秀な人材を確保しやすくなるかもしれません。何より、意欲の高い状態が続くことで、企業としても大きく成長できる可能性が高まります。

こうした安全への配慮はあくまで「義務」のため、規定に違反しても刑事罰を受けたり罰金を請求されたりすることはありません。しかし万が一熱中症により従業員が死亡した場合は、大切な従業員を失うだけでなく、慰謝料の支払い、現場がストップすることで生じる損失、労働災害防止計画の見直し、メディアへの対応、社会的信用の失墜などが生じます。暑熱対策を適切に行うことで、企業を守り、成長させることが可能です。

暑熱環境とは?暑熱対策と
企業のリスク管理について詳しく見る

企業・職場での熱中症対策義務化

2025年6月から、企業や事業者には熱中症対策の実施が法的に義務づけられました。報告体制の構築、対応マニュアルの整備、関係者への周知など、従来の「努力義務」から一歩進んだ対応が求められます。義務化に違反すると、最大で懲役刑や罰金が科される可能性があり、さらに労災認定による企業責任も問われかねません。

屋外だけでなく、工場や倉庫など屋内でもWBGT値や気温が基準を超える作業環境では、熱中症発生リスクと共に「企業としての法的・社会的リスク」も確実に高まっているのが現状です。仮に対策を怠ったことで事故が起これば、慰謝料や損害賠償だけでなく、操業停止、社会的信用の低下、人材流出といった深刻なダメージにつながります。

一方で、制度に沿って早めに対応し、環境改善と安全配慮を徹底すれば、職場の安心感と生産性を高めるだけでなく、企業ブランディングや人材確保の面でも大きな強みになります。働く人を守る姿勢そのものが、企業価値向上に直結する時代。法改正の要点を理解し、現場で即実践できる体制を整えることが、今後の企業成長に欠かせません。

企業・職場における熱中症対策義務化の内容と
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【目的別】
工場・倉庫の遮熱対策を比較

暑さ対策にはさまざまな方法がありますが、工場・倉庫でまず行いたいのが遮熱対策です。遮熱とは、外の熱が室内に入るのを防ぐことです。
夏場の強い太陽光によって屋根や外壁は非常に暑くなりますが、遮熱対策をすることで、その熱が室内に伝わらないようにすることができます。工場・倉庫では、特に熱を持ちやすい「屋根」「窓」「機械」に遮熱対策をするのがおすすめ。以下で詳しく見ていきましょう。