地球温暖化対策や省エネ効果が期待されている放射冷却素材。ここでは、注目の放射冷却素材について基礎知識をご紹介します。
放射冷却とは、物質が外に熱を出して(放射)冷える(冷却)現象のことを言います。天気予報で、「放射冷却により今晩は冷えるでしょう」とアナウンスされたのを聞いたことはありませんか?これは、日中太陽によって温められた地表が、夜に放射冷却で冷える現象のことです。
この現象を活用した素材が、放射冷却素材です。一般的な素材では、出ていく熱よりも太陽光から入る熱の方が大きいので、素材は気温より温まってしまいます。しかし放射冷却素材は出ていく熱の方が大きいので、日中でも効率よく冷却することが可能。電気を使わず空間を冷却できるとして、世界的に注目を集めています。
SPACECOOLは、SPACECOOL株式会社が開発・販売している放射冷却素材です。
放射冷却現象を素材で再現。太陽光と大気からの熱を95%以上※ブロックし、熱を宇宙に逃がすことで、常に外気温より2〜4℃低くすることができます。
大きな特徴は、耐候性とコストパフォーマンスに優れている点です。紫外線に対して10年相当以上の耐候性が確認されているので、屋外で長期間効果を維持しながら使用することが可能です。
フィルム、マグネットシート、膜材料、ターポリン・キャンバスなど、さまざまなタイプが提供されています。
スカイクールは、2016年設立、アメリカ・カリフォルニア州に拠点を置くスカイクール・システムズ社が提供しています。
ラインナップは、放射冷却パネルとデュアルモードフィルムです。放射冷却パネルは、太陽光を反射して日中のパネルの過熱を防ぐとともに、赤外線熱を空に放射。パネルの背面に埋め込まれたパイプ網内に水を循環させることで、冷却状態に保つことが可能です。
デュアルモードフィルムは、ナノテクノロジーで作られた光学フィルムで構成されています。屋外のバッテリーや電子ボックス、金属屋根、冷蔵トラックなどの車両に使用するのがおすすめです。
i2 Cool(創冷科技)は、2021年6月に香港で設立されたベンチャー企業です。同社はパッシブ放射冷却技術に特化しており、電気不要の放射冷却塗料「iPaint」や放射冷却フィルム「iFilm」、デュアルモード熱管理機能を備えた「iTextile」などの製品を提供。
例えばi2 Coolが提供する「iFilm」は優れた断熱性能をもち、高効率・省エネを実現するフィルム。ガラスの内側や外側に取り付けることができ、空調の利用を減らしながらも快適な空間が実現できます。
暑さ対策にはさまざまな方法がありますが、工場・倉庫でまず行いたいのが遮熱対策です。遮熱とは、外の熱が室内に入るのを防ぐことです。
夏場の強い太陽光によって屋根や外壁は非常に暑くなりますが、遮熱対策をすることで、その熱が室内に伝わらないようにすることができます。工場・倉庫では、特に熱を持ちやすい「屋根」「窓」「機械」に遮熱対策をするのがおすすめ。以下で詳しく見ていきましょう。