太陽光中の近赤外線を反射し、屋根や外壁の表面温度の上昇を抑える塗料です。室内の温度上昇を抑えられ、冷房の使用を減らせるため、省エネ効果が期待できます。断熱塗料と混合されがちですが、遮熱塗料は熱の反射による効果が中心。熱の伝導を防いだり、冬場の室温を保ったりする効果は期待できません(※ただし、製品によっては断熱効果と遮熱効果を併せ持つ塗料も存在します)。
ここでは、工場・倉庫の屋根に使用されている遮熱塗料製品を紹介しています。
高い日射反射率を持つ遮熱塗料で、屋根や外壁の表面温度を効果的に抑えます。基材や効果の異なる製品を複数ラインナップしているのが特徴。中でも人気の高い「ミラクールS100」の期待耐用年数は約10年、「ミラクールF200」の期待耐用年数は約15年となっています。
アサヒペンの遮熱塗料シリーズは、紫外線劣化防止剤(HALS)を配合しているのが特徴。遮熱効果だけでなく、対候性にも優れています。シリーズでは、防水屋上防水遮蔽熱塗料や水性屋根用遮熱塗料、油性シルバーペイント(トタン用・鉄部用)などをラインナップ。屋根の素材に合わせて選択できます。
WAKOペイント事業部が提供している遮熱塗料製品です。遮熱効果だけでなく、断熱効果、結露防止、防音効果、不燃性を持っているのが特徴。有機溶剤などの危険物を使用しておらず、環境にも配慮されています。
日本ペイントが提供している屋根用の遮熱塗料シリーズ。太陽光の熱を効果的に反射し、建物内部の温度上昇を抑えます。計7種類の製品を展開しており、全40色から選べるのが特徴です。
日進産業が開発した遮熱塗料製品。塗膜の約80%を断熱セラミックで構成しているため、日射を効率的に反射します。また、200色以上のカラーを展開しているため、建物に合った色を選べるでしょう。
関西ペイントが提供する遮熱塗料。赤外線を反射する特殊な顔料を上塗り(トップコート)と下塗り(プライマー)の両方に配合しており、高い耐候性と遮熱性能を兼ね備えています。
エスケー化研が開発した遮熱塗料シリーズ。計6種類の製品を展開しています。低汚染機能により、汚れによる遮熱性能の低下を防げるのが特徴。主に工場や倉庫の屋根・屋上塗装に使用されているそうです。
アステックペイントが提供する遮熱塗料シリーズ。近赤外線を効果的に反射するチタン複合特殊無機顔料を使用して、高い遮熱効果を実現しています。塗膜の劣化を防ぐ効果があり、耐候性にも優れているのが特徴です。
NASAが開発した4種類の特殊セラミックを使用している遮熱塗料製品。優れた遮熱性能を持つのはもちろん、一部吸収した太陽熱エネルギーを放射するのが魅力。遮断層を作って熱伝導を防ぎ、屋内を快適な温度環境に保ってくれます。
シンマテリアルワンが提供するシリーズ製品。遮熱性能と断熱性能を併せ持つ屋根用の塗料や、遮熱効果をもつ窓ガラス用の塗料などを展開しています。ハチの巣状の中空ビーズ層により、塗膜の熱を通しにくい構造になっているのが特徴です。
窓ガラスからの近赤外線を60~80%カットできる特殊金属膜コーティング剤です。既存の窓ガラスに塗るだけで遮熱効果を発揮できるほか、紫外線も97%以上カットするため、紫外線による劣化を防げます。
遮熱塗料と断熱塗料は、いずれも屋根や外壁に施すことで建物の温度環境を整え、室内を快適に保つためのものです。しかし、その仕組みや得られる効果には大きな違いがあります。
まず、遮熱塗料は太陽光に含まれる赤外線を反射し、表面温度の上昇を抑える機能を持つのが特徴です。夏場の強い日差しをはね返すことで、室内の温度上昇を防ぎ、冷房負荷を軽減します。一方で、冬の暖房効果を高める機能はほとんどないため、どちらかというと夏の暑さ対策に重点を置いた塗料と言えます。
これに対して断熱塗料は、塗膜そのものに断熱性能が備わっており、夏は外からの熱を伝えにくく、冬は室内の暖気を逃しにくくするのが強みです。外部と内部を隔てるバリアのような役割を果たすため、季節を問わず年間を通して冷暖房効率を高められます。遮熱塗料よりも費用は高めですが、長期的に見れば快適性の向上と光熱費の削減が期待できることから、住宅の断熱性能を上げたい場合に適した選択肢となります。
耐用年数にも差が生まれます。遮熱塗料はおおむね10~12年が標準的なサイクルなのに対し、断熱塗料は約15~20年の耐久性が見込まれる製品が多いです。ただし、実際の耐用年数は製品や施工状況によって変わるため、塗料選びの際は施工業者に相談しながら総合的に判断するのが良いでしょう。安いからといって安易に飛びついたり、高価だからといって優れているわけではありません。その地域の気候や、家族構成・ライフスタイルなどを考慮し、自分に合った塗料を選ぶことが大事です。
もし、夏の猛烈な暑さが課題であれば、日差しを反射する遮熱塗料が効果的です。反対に、年間を通じて室内の温度差をより安定させたい、冬の暖房費も抑えたいというのであれば、断熱塗料が向いているでしょう。いずれの塗料を検討する場合も、信頼できる施工業者や専門家に相談し、実際のコストパフォーマンスや期待できる効果について把握したうえで判断することをおすすめします。
暑さ対策にはさまざまな方法がありますが、工場・倉庫でまず行いたいのが遮熱対策です。遮熱とは、外の熱が室内に入るのを防ぐことです。
夏場の強い太陽光によって屋根や外壁は非常に暑くなりますが、遮熱対策をすることで、その熱が室内に伝わらないようにすることができます。工場・倉庫では、特に熱を持ちやすい「屋根」「窓」「機械」に遮熱対策をするのがおすすめ。以下で詳しく見ていきましょう。