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イラン情勢による塗料用シンナー不足とは?

2026年5月現在、中東の緊迫化に伴うイランのホルムズ海峡封鎖を受け、日本の塗装業界は深刻な「塗料用シンナー不足」という大打撃に見舞われています。主原料であるナフサの供給が滞り、夏を前に遮熱塗装ができない「塗れない夏」の到来が現実味を帯びる中、今注目されているのが塗料に頼らない最新の暑さ対策です。

この記事では、この危機の背景と、窮地を救う次世代の救世主「放射冷却素材」の可能性について解説します。

塗料用シンナーとは

塗料用シンナー(ペイントうすめ液)とは、油性塗料(溶剤系塗料)を塗るのに適した粘度に薄めたり、使用した刷毛や用具を洗浄したりするために欠かせない有機溶剤(液体)です。

主に原油を精製して得られる「ナフサ」を原料としたミネラルスピリットなどの炭化水素系溶剤で構成されており、塗料の伸びや乾燥速度を適切にコントロールする役割を持ちます。家庭用の外壁塗装からプロの建築・自動車塗装まで幅広く使用されますが、原油に依存する資材であるため、中東情勢など原油供給の変動による影響をダイレクトに受けやすい特徴があります。

なぜ今、業界激震の「塗料用シンナー不足」が起きているのか?

2026年3月、中東の緊迫化に伴いイランがホルムズ海峡を事実上封鎖したことで、日本の塗料業界に激震が走っています。同海峡は、日本が輸入する原油の約90%、そしてシンナーの主原料となる「ナフサ」の約82%が通過する物流の要所です。

封鎖によってタンカーの通行が阻まれ、国内へのナフサ供給が滞ったことで、ナフサ価格は前月比約1.9倍に急騰。シンナーの製造自体が困難になりました。さらに、ナフサは国の法的備蓄の対象外であるため国内在庫の底がつきやすく、各メーカーは一時新規販売停止や出荷制限、大幅な値上げに踏み切っています。代替品の確保も難しく、現場の施工がストップするなど深刻な品薄危機が続いています。

施工業者の打撃「塗れない夏」到来

本格的な夏を前に、シンナー不足は施設管理者だけでなく、塗装業者にも甚大な打撃を与えています。特に夏場に需要が急増する「遮熱塗料」の多くはシンナーで希釈する弱溶剤系であるため、塗りたくても塗れない異例の事態に陥っています。

この「塗れない夏」を乗り切るため、業界では代替の暑さ対策への移行が進んでいます。シンナー不要の水性遮熱塗料への切り替えや、建物自体への遮熱シートの展張、さらには窓ガラスへの遮熱フィルム施工といった、塗料に頼らない多角的な遮熱・遮熱対策の提案が現場で急務となっています。

遮熱塗料に変わる救世主。「放射冷却素材」への転換

シンナー不足により遮熱塗料の塗装が困難となる中、従来の「遮熱」を超える画期的な暑さ対策として今、大きな注目を集めているのが「放射冷却素材」です。

従来の遮熱塗料は太陽光を反射して温度上昇を「抑える」ものでしたが、放射冷却素材は、地球の熱を宇宙へ逃がす自然現象(宇宙への熱排出ウィンドウ)を応用し、太陽光を反射しつつ自ら熱を放射して「エネルギーゼロで外気より温度を下げる」という機能を持っています。フィルムやシート、あるいはシンナーを必要としない特殊な工法などで展開され、塗料不足に悩む塗装業界や施設管理者にとって、これからの夏を乗り切る文字通りの「救世主」となっています。

放射冷却素材が今、選ばれている理由

厳しいシンナー不足と猛暑という二重の試練に直面する中、なぜ放射冷却素材がこれほどまでに支持を集めているのでしょうか。

その理由は、単なる遮熱塗料の「一時的な代用品」にとどまらない、極めて高い実用性と圧倒的な性能にあります。現在の深刻な資材危機を回避できるだけでなく、現場を担う職人にとっても、そして夏の暑さに悩む施設管理者にとっても、従来の塗装工事を上回る多くのメリットをもたらすからです。

ここからは、今まさに放射冷却素材への転換が進んでいる背景について、3つの決定的な理由から詳しく紐解いていきます。

塗料用シンナー不足の影響を受けない

放射冷却素材が選ばれる最大の理由は、現在の供給危機の「渦」の外にある点です。油性塗料はナフサを原料とするシンナーが必須ですが、放射冷却素材の多くはフィルムやシート、あるいは水性系の特殊建材として供給されるため、中東情勢やホルムズ海峡封鎖による原材料不足の打撃を直接受けることがありません。

原油価格や物流の混乱に左右されず、夏本番を前にしても資材を安定して確保できるため、「工事を約束通りに進められる」という確実性が、今最も大きな強みとなっています。

施工業者にとっても扱いやすい商材

放射冷却素材は、現場を担う施工業者にとっても極めて実用性の高い商材です。従来の弱溶剤系塗料のように、現場でシンナーを計量して調合・希釈する手間や、膜厚を均一にする高度な職人技、乾燥を待つ長い施工期間が必要ありません。

多くの製品が「貼るだけ」のフィルムやシート形状、あるいは施工性の高い仕様となっており、作業工程を大幅に短縮できます。また、シンナー特有の激しい臭気がないため、近隣住民への配慮や作業員の健康管理もしやすく、労働環境の改善につながる点も現場から支持される理由です。

遮熱塗料を超える「冷却力」

従来の遮熱塗料は、太陽光(近赤外線)を反射して建物が熱くなるのを「抑える」のが限界でした。しかし、放射冷却素材はそれを超える「冷却力」を発揮します。

太陽光を遮るだけでなく、建物の熱を「宇宙へ直接放射する」という全く新しいメカニズムにより、直射日光下であってもエネルギーを一切使わずに、外気温度よりも低い状態を作り出すことが可能です。この驚異的な冷却性能は、シンナー不足による代替手段としてだけでなく、劇的な省エネ効果や室内環境の改善をもたらす次世代の暑さ対策として高く評価されています。

本格的な夏が来る前に!最新の暑さ対策へアップデートを

イラン情勢に伴うホルムズ海峡封鎖は、塗料用シンナーの不足という形で日本の塗装業界や施設管理者に深刻な影を落としています。しかし、この前例のない危機は、従来の遮熱塗装に頼らない「新しい暑さ対策」へ踏み出す転換点でもあります。

シンナー不足の影響を受けず、現場での扱いやすさと外気以下の温度を実現する圧倒的な冷却力を兼ね備えた「放射冷却素材」は、これからの猛暑を乗り切る強力な選択肢です。本格的な夏が到来する前に、サプライチェーンのリスクに左右されない持続可能な暑さ対策へとアップデートしていきましょう。

放射冷却素材とは?
特徴と製品を紹介

【目的別】
工場・倉庫の遮熱対策を比較

暑さ対策にはさまざまな方法がありますが、工場・倉庫でまず行いたいのが遮熱対策です。遮熱とは、外の熱が室内に入るのを防ぐことです。
夏場の強い太陽光によって屋根や外壁は非常に暑くなりますが、遮熱対策をすることで、その熱が室内に伝わらないようにすることができます。工場・倉庫では、特に熱を持ちやすい「屋根」「窓」「機械」に遮熱対策をするのがおすすめ。以下で詳しく見ていきましょう。