このページでは、工場・倉庫の雨漏り対策として検討される防水シートを紹介します。防水シートは本来、雨水の侵入を防ぐための建材ですが、屋根改修のタイミングでは、夏場の屋根温度上昇を抑える遮熱対策も同時に検討することが重要です。
工場で使われる「防水シート」とは、屋根や屋上に常設して雨水の侵入を防ぐ、建築用の防水材のことです。代表的なものとして、塩化ビニル樹脂系や加硫ゴム系といった合成高分子系ルーフィングシート、そして防水改修でよく採用される改質アスファルトシートが挙げられます。
ここで言う防水シートは、台風や豪雨のときに応急的に使うブルーシートや、工事現場の養生シートとは別物です。施工後はそのまま建物の防水層として機能する材料となります。
工場の防水シートの主な種類は、塩化ビニル樹脂系シート防水、加硫ゴム系シート防水、改質アスファルトシート防水の3つです。日本防水材料協会も、塩ビ・加硫ゴムの接着工法や機械的固定工法、改質アスファルトのトーチ工法や常温粘着工法を、それぞれ独立した工事項目として整理しています。
さらに近年は、この基本性能に付加価値を持たせた製品も増えてきました。たとえば田島ルーフィングの「ビュートップC15」は高反射率を備えた塩ビ樹脂系シートであり、ロンシール工業とSPACECOOLが手がける「イノベーションプルーフRR」は、防水性能に放射冷却の機能まで組み合わせています。防水シートの選択肢は、近年多様化しています。
陸屋根や、すでに防水層がある屋上をリフォームする場合は、塩ビシート防水と改質アスファルトシート防水を比較検討しやすく、既存層を撤去するか、その上から新しい層を被せるかが判断の大きな分かれ目となります。
一方、折板や瓦棒といった金属屋根の場合は条件が異なるため注意が必要です。田島ルーフィングが金属屋根改修仕様として示しているように、ビスの引抜き試験や金物の納まり、固定ディスクの種類、断熱材の有無まで、事前確認すべき項目が多岐にわたります。
傾斜のあるスレート屋根も同様です。こちらはむしろ「勾配屋根用防水システム」やカバー工法の考え方に近く、屋上向けのシート防水をそのまま持ち込むのではなく、既存の屋根材の上からどう改修するかを先に整理することが推奨されます。
工法を選ぶときは、接着工法、機械的固定工法、常温粘着工法、トーチ工法、断熱材併用工法、そして既存防水層を撤去するかどうかを、それぞれ切り分けて考える必要があります。
合成高分子系シート防水では、接着工法と機械的固定工法が標準的な選択肢です。公共建築仕様に準拠した情報を見ても、既存の防水層を撤去せずに新規で塩ビシートを張る改修では、原則として機械的固定工法を用いるとされています。改質アスファルトの場合はトーチ工法と常温粘着工法があり、後者は溶剤や火気をほとんど使わない点が大きな特長といえます。
工場を稼働させながら屋根の工事をするなら、防水性能そのものだけでなく、火気の使用、臭気、騒音、工期、立入制限、生産ラインへの影響まで、施工条件として網羅的に確認する必要があります。
たとえば「ガムクール」は改修向けの製品で、溶剤や火気をほとんど使わない常温粘着工法として紹介されています。また、立上り部分の防水層をあえて撤去しない「コンポジットシステムAS」は、工期短縮とコスト低減につながるとされる工法です。反対に、機械的固定工法では穿孔作業や端部の押え金物固定がリスクアセスメントの対象に含まれており、稼働中の音や人の動線への配慮という点では、事前の調整が欠かせません。工場生産品を使うシート防水は比較的短工期で済むケースが多く、この点も稼働中の工事における利点となります。

広幅別貼りシート(ディスク固定タイプ)は、工場溶着により最大5枚を一体化し、現場溶着箇所を削減する防水シートです。溶着部品質の向上と施工サイクル短縮を実現。EVAシート厚は0.8mm・2.0mmから、透水層も不織布等から選択可能。全周防水にも対応し、シワやたるみのない平滑な施工を可能にします。

小泉製麻の遮水シートは、塩化ビニル製の軟質遮水シートです。優れた耐化学薬品性を備え、酸・アルカリを含む汚水や海水など過酷な環境下でも長期使用が可能。熱溶着加工により気象条件に左右されず、迅速かつ簡単に現場施工できます。厚さ0.5〜2.0mm、幅103〜204cmなど豊富なサイズ展開で多様な現場に対応します。

サンエーシートAは、屋上から屋内、地下防水まで40年以上愛用されるルーフィングシートです。優れたコストパフォーマンスを誇り、屋外保護仕様・屋内・ピット・地下外壁など幅広い用途に対応。厚さ1.1mm・幅1m・25m巻の扱いやすい荷姿で、豊富な副資材との組み合わせにより多様な現場ニーズに応えます。

ビュートップは、塩化ビニル樹脂系のシート防水材です。豊富なカラーバリエーションによる高い意匠性で建物外観にもこだわれます。熱溶着でジョイント部を一体化し高い水密性を確保。特殊基材で強度を高め、沿岸部や高層ビルなど強風下でも対応可能。遮熱・高耐久など条件に応じた仕様選択もできます。
防水対策の役目は、あくまで雨水を建物の中に入れないことです。これに対して遮熱対策は、屋根の表面で太陽光、とくに近赤外域の光を反射し、熱そのものが室内へ流れ込むのを抑えることが目的となります。国土交通省の資料でも、「高日射反射率塗料」は屋上・屋根で使う資材として整理されています。さらに一歩進んだ考え方が放射冷却で、光を反射するだけでなく、屋根にたまった熱を赤外線として外へ逃がすことで温度上昇を抑制する仕組みです。つまり、雨漏りが止まっても工場内の暑さという課題はそのまま残る可能性があり、防水だけでは目的を満たしきれないケースが存在します。
屋根の改修工事は、防水層だけを直すよりも、断熱材の追加、反射性能の付与、既存層を撤去しない改修、立上り部分の納まりの見直しまで、まとめて設計しやすいタイミングといえます。田島ルーフィングの「サーモコントロール断熱」は、露出防水に断熱と遮熱の機能を持たせる工法として紹介されており、省エネ効果だけでなく防水層そのものの寿命を安定させる点にも触れられています。加えて、立上り部を撤去しない改修工法は工期短縮とコスト低減につながるとされており、操業への影響を極力抑えたい工場の改修案件に適した工法です。

屋根の防水工事を行う際は、防水と同時に遮熱対策も行うのがおすすめです。屋根表面温度の上昇は建物内部の空調負荷を高め、電気代増加や室内環境の悪化につながります。イノベーションプルーフRRは、ロンシール工業とSPACECOOLの共同開発による防水シートで、高い防水性能に放射冷却技術を融合。防水と遮熱を同時に実現でき、実際に屋上表面温度を約20℃低下させた実績もあります。
暑さ対策にはさまざまな方法がありますが、工場・倉庫でまず行いたいのが遮熱対策です。遮熱とは、外の熱が室内に入るのを防ぐことです。
夏場の強い太陽光によって屋根や外壁は非常に暑くなりますが、遮熱対策をすることで、その熱が室内に伝わらないようにすることができます。工場・倉庫では、特に熱を持ちやすい「屋根」「窓」「機械」に遮熱対策をするのがおすすめ。以下で詳しく見ていきましょう。